Q&A
Q. 睡眠薬を使うと認知症になりやすくなるというのは本当ですか?
A. 実はこの結論は未だに出ていません。
数多くの調査が行われていますが、認知症リスクが高まるという調査結果もあれば、高まらないという調査結果も複数あり、一定の見解が出ていないのです。
それでも敢えて現段階で結論を出すならば
認知症リスクが高まるという報告の中で有力視されているものに数年から十数年間睡眠薬を長期常用すると認知症になるリスクが1.5倍~3倍に高まる可能性があるというものがあります。睡眠薬使用の原因である不眠症自体が認知症になるリスクを高めてしまうため、どこまでが純粋に睡眠薬による影響なのかははっきりしないものの、例え純粋に睡眠薬による影響があったとしても、とても長期間の常用をしない限り心配はいらないものと考えられます。
そのため
不眠症をそのまま放置するよりも、生活習慣を改善しつつ必要に応じて適正に睡眠薬を使用し、不眠症が改善次第睡眠薬を減量する
という不眠症の適切な治療を行う限り、然程心配する問題ではありません。
「睡眠薬の減量方法」についてはこちらの記事を参照してください➡鋭意製作中
「睡眠不足がもたらす認知症リスク」についてはこちらの記事の中で解説しています
Q. 市販の睡眠薬は病院で処方される睡眠薬と何が違うのですか?効果はありますか?
A. 市販の睡眠薬の主成分は「ジフェンヒダミン」と呼ばれる抗ヒスタミン作用を持つ物質であることが多く、病院で処方される睡眠薬とは全く異なるものになります。他にも市販薬の中には精神を落ち着かせる生薬を利用した漢方薬も存在します。
「ジフェンヒダミン」は主にアレルギーの薬に含まれている成分です。花粉症の薬を内服して眠気が出る方がいると思いますが、これは「ジフェンヒダミン」が覚醒作用を有するヒスタミンという物質の働きを抑える(抗ヒスタミン作用)を有するためです。この効果を利用したものが市販の睡眠薬になります。
A. 一時的な睡眠不良には効果があるかもしれませんが、睡眠の質や睡眠時間は改善しないという報告があります。
市販の睡眠薬の主成分である「ジフェンヒダミン」には確かに眠気を誘う効果はあるものの、睡眠の質や睡眠時間に明らかな改善はなかったという調査報告1があります。ただし、それ以外に含まれている成分によって睡眠を多少改善する可能性はあります。
また「ジフェンヒダミン」は病院で処方される睡眠薬と比較して、翌日に眠気を持ち越しやすく頭の働きも低下させやすいという報告2も出ており、注意が必要です。
※睡眠薬の効果は体質の影響を受けやすく、人によって効果にばらつきがあります。大事なのは自分に合っているかどうかであり、市販の睡眠薬が自分に合っているという方はそちらを続けてもらって大丈夫です。ただし、睡眠薬に頼りすぎず、生活習慣を見直す努力は続けていきましょう。
「自分で出来る睡眠対策」についてはこちらの記事を参照してください
Q. 寝酒と睡眠薬はどちらが良いですか?
A. 睡眠改善効果については、圧倒的に睡眠薬の方が有効です。
寝酒によって、短期的には寝付くまでの時間が短くなりますが、睡眠は浅くなり途中で起きやすくなる等睡眠の質は低下します。
また長期的に寝酒を続けていると脳が覚醒しやすくなり、かえって寝つきも悪くなっていきます。
A. 有害性については、寝酒の方が上回ります。
お酒は睡眠薬よりも依存性が強いです。また、お酒を続けることで気持ちが落ち込みやすくなったりイライラしやすくなるなどの精神毒性が出てくる恐れがあります。
- Management of insomnia and long-term use of sedative-hypnotic drugs in older patients.CMAJ(2013) ↩︎
- Carryover effect on next-day sleepiness and psychomotor performance of nighttime administered antihistaminic drugs: a randomized controlled trial. Human psychopharmacology(2012) ↩︎
睡眠薬に関する疑問にお答えしています。本ページ下部(関連記事の下)にコメント入力スペースがありますのでそちらから質問をどしどしお寄せください。
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