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専門医による分かりやすい『睡眠薬』解説

話の流れ

〇精神依存:その薬物が欲しいという強い欲求を生じる作用
〇身体依存:その薬物を使わないと身体の不快な症状が出てくる作用
〇耐性:その薬物を使い続けると、その薬物の効果が出にくくなる作用
〇催幻覚:幻覚症状を誘発する作用
〇精神毒性:気分の落ち込みやイライラなどの不快な精神症状をもたらす作用

これは薬物の依存性を比較した表です。睡眠薬(ベンゾジアゼピン系睡眠薬)は全く依存しないというわけではありませんが、その依存性の強さは「お酒」や「タバコ」よりも小さいことが分かります。

たまにお酒を飲む人がお酒に依存してしまうことはなかなかありませんよね。睡眠薬はそれ以上に依存しにくい薬になります。

用法用量以上の使い方をせず極力少量の使用に留め、数か月単位の長期連続利用をしなければ、依存性については然程心配はありません

また、睡眠薬にはいくつか種類があり、依存性のない睡眠薬も存在します。

ベンゾジアゼピン系睡眠薬

眠気を強めることで睡眠を促す薬です。
現在使われている睡眠薬の中で最も古くから使われている薬であり、種類が豊富にあります。

メリット

種類が豊富なため、薬の強さや効果時間など、自身の睡眠問題に合わせて薬を微調整することが可能です。

デメリット

お酒程ではありませんが依存・耐性作用があり、過剰な使用によって薬が辞められなくなったり効果が出にくくなる恐れがあります。
筋肉の緊張を緩める作用があるため、特に高齢者では足元がふらついたり、誤嚥してしまう等のリスクがあります。

『ベンゾジアゼピン系睡眠薬』についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。➡鋭意製作中

メラトニン受容体作動薬

睡眠を促す作用はあまりなく、代わりに睡眠覚醒のリズムを整える働きがあるため、遅寝遅起き等の生活リズムの乱れを調整するための補助薬として使われることが多いです。
ベンゾジアゼピン系の次に開発された薬で、1種類の薬しかありません。

メリット

副作用が少なく依存性もないため、比較的軽い気持ちで利用ができます。また、不眠症改善よりリズム調整が目的であればこの薬が第1選択となります。

デメリット

他の睡眠薬と比較して睡眠を促す作用はあまり期待できません

『メラトニン作動薬』についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。➡鋭意製作中

オレキシン受容体拮抗薬

最も新しい睡眠薬であり、眠気を強めるのではなく、覚醒を和らげることで相対的に睡眠を促す薬になります。

メリット

筋肉を緩める作用や依存性がないため、使いやすいです。

デメリット

薬が2種類しかなく、薬の強さや効果時間によって微調整するということが困難です。筋肉を緩める作用は目立ちませんが、覚醒が弱まるため不注意による転倒等の危険性はあります。

『オレキシン受容体拮抗薬』についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。➡鋭意製作中

基本的に内服後30分前後で効果が出てきて1時間前後でピークに達します

効果の持続時間は体質によっても異なってきますが基本的に8時間前後です。ただし種類が豊富なベンゾジアゼピン系睡眠薬に関しては、より効果時間の短いものや長いものも存在します。

基本的に内服した日から効果がみられます。時に、初日は効果が感じられなかったものの、数日内服を続けるうちに効果が安定してくるといったこともあります。

用法用量を守る
お酒と一緒に服用しない
薬を飲んだら寝床に入る

用法用量を守る

眠れないからといって薬の量を自分勝手に増やさないようにしましょう。翌日に眠気が残ったり、転んでしまうといったリスクが高まりますベンゾジアゼピン系の薬の場合は依存してしまうリスクが高まり、耐性作用によって次第に薬の効果も得られにくくなっていきます

数日飲み続けることで効果が安定することもあるため、まずは数日試してみて、効果が見られない場合は次回の受診時に主治医に相談しましょう。

ただし、次の日になかなか起きられない等、薬が効きすぎている場合は病院に連絡を入れたうえで半分の量に減らしてみる等の調整は検討した方が良いです。

お酒と一緒に服用しない

晩酌をした日は睡眠薬の使用は控えてください。アルコール成分と薬の作用が混在した結果、「記憶なく行動してしまう」等の危険な副作用が生じることがあります。私の患者さんにもお酒と一緒に睡眠薬を服用した結果、記憶なく運転をしたりお風呂に入ったりして危険な状態になった方が数人おられます。

薬を飲んだら寝床に入る

いくら睡眠薬とはいっても、薬を飲んだ後にあれこれ活発に動いていたら効果が減弱してしまいます。また場合によっては集中力の低下や足元のふらつき等の副作用が生じてトラブルに発展する可能性もあります。

とは寝床に入るだけという状態にして薬を飲むようにしてください。寝床に入ったはいいけどなかなか寝付けないといった場合は、読書やストレッチなどの静的な活動を取り入れてみてください。

もしなかなか眠れず睡眠薬を使うのであれば、ずばり!

オレキシン受容体拮抗薬の使用をお勧めします。

もちろん体質によって合う合わないがありますが、依存性を気にせず、転んだり誤嚥するリスクも少ないため、最初に使うのであればこの薬一択といっても良いでしょう。

オレキシン受容体拮抗薬が合わなかった場合にベンゾジアゼピン系睡眠薬を検討するといった順番が現在の睡眠薬治療のスタンダードになっています。

ただし!大前提として不眠症治療の基本は生活習慣の見直しです。睡眠薬の使用は生活習慣を見直してもなお眠れない場合に検討しましょう。
自分で出来る睡眠対策についてはこちらの記事を参照してください。

睡眠薬に関する疑問にお答えしています。本ページ下部(関連記事の下)にコメント入力スペースがありますのでそちらから質問をどしどしお寄せください。
よくある質問に関してはこちらのページにもまとめているので参考にしてみてください。

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この記事を書いた人

子供3人の子育てに奮闘中の父。総合病院精神科で副科長を務め、様々な精神疾患・メンタルヘルスの問題で苦しむ人々に寄り添ってきた精神科専門医・指導医、精神保健指定医、リエゾン専門医。少しでも多くの人に今よりも生きやすくなってほしい。そんな思いで精神疾患・メンタルヘルスに関する情報を発信しています!

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