睡眠不足が人生にもたらす影響 5選
免疫力の低下
睡眠時間が短くなると風邪の発症率が高まることが分かっています。7時間以上睡眠を確保している方と比べて睡眠時間が6時間未満の方はおよそ4倍風邪を発症しやすくなったという報告があります。他にも短時間睡眠によって風邪発症リスクが2~3倍高まるという報告もあり、睡眠時間が減少することで免疫力が低下することは明らかです。
人生のうち風邪を引いている期間は約5年間というエスタックのCMがありましたが、睡眠時間が短い場合、単純に計算すればこの期間が10年~20年に及ぶということになります。
睡眠が免疫力に与える影響
睡眠中の私たちの身体の中では成長ホルモンが分泌され、弱った細胞を修復し免疫力を高めることが分かっています。また、細菌やウイルスの侵入を防ぐIgA抗体の産生を促したり、一度罹ったことのあるウイルスや細胞に対する抵抗期間を延ばすことも分かっています。
認知機能の低下
不眠症を患う方はそうでない方と比較して認知症発症リスクがおよそ2倍に高まるという報告があります。
この調査では後述する不眠症で患いやすい生活習慣病等の影響を受けないよう調整されており、純粋に不眠症そのものが認知症発症に与える影響を調べたものになります。
認知症になることの危険性については下の記事を参照ください。
数多くの認知症患者を診てきた認知症診療医が語る「表に出てこない認知症の社会実態」➡鋭意執筆中
こちらの記事で自身で出来る認知症予防策について触れています。是非読んでみてください。➡鋭意執筆中
肥満リスクの上昇
5時間未満の睡眠を続けていると肥満になるリスクが55%上昇するという報告があります。
短時間睡眠によって、食欲を増加させるホルモン(グレリン)が上昇し、食欲を抑えるホルモン(レプチン)が減少するためです。
生活習慣病リスクの上昇
7~8時間睡眠をとっている方と比べて、睡眠時間が5時間未満の方は糖尿病発症リスクが2.5倍高まるという報告があります。
7~8時間睡眠をとっている方と比べて、睡眠時間が6時間未満の方は高血圧リスクが1.6倍高まるという報告があります。
精神疾患発症リスクの上昇
不眠症の方が精神疾患を発症するリスクについて調べた調査では
不眠症の方はうつ病が4倍、不安障害が2倍、物質使用障害が7.2倍発症しやすかったと報告されています。
うつ病についてはこちらの記事を参照してください。
不安障害についてはこちらの記事を参照してください。
物質使用障害についてはこちらの記事を参照してください。
ショートスリーパーにはなれるの?
ショートスリーパーとは
6時間未満の睡眠でも
・起きるのが辛くない
・日中の眠気を感じない
・昼寝も必要としない
人のことを言います。
睡眠が短くても日々のパフォーマンスに影響がないなんてとても魅力的ですよね。
ショートスリーパーになるための訓練法等を謳う商売も存在しますが、残念ながらこのショートスリーパーは遺伝的なもので、訓練で身に着けることは不可能であることが結論付けられています。
ただし8時間以上の睡眠を必要とする方の中には、睡眠の質が悪いために睡眠時間が長くなっている方もいるため、睡眠の質を高めることが出来れば今よりも短い睡眠時間で事足りるようになる可能性は十分にあります。
ちなみに、このショートスリーパーの人口比率は多くても5%程、カリフォルニア大学の研究報告によれば約0.004%とも報告されています。
ショートスリーパーとして有名なエジソンやナポレオンという偉人も、実はショートスリーパーではなかったことが分かっています。エジソンは短い睡眠を1日の中で何度もとることで睡眠時間を確保しており、ナポレオンは会議中や移動中の馬上でうたた寝をしていたようです。
自分はショートスリーパーだと思っている方の大半は、自身のパフォーマンス低下に気づいていない自称ショートスリーパーになります。
これは睡眠時間ごとに脳の働きがどのように変化していくのかを2週間にわたって調べた研究報告ですが、1日6時間睡眠を続けた方の2週間経過時点での脳のパフォーマンスは2日徹夜した状態と同等であったことが分かっています。徐々に脳のパフォーマンスが低下するため自身ではこの変化に気づきにくく、自称ショートスリーパーの方がしばらくしっかり睡眠をってみると今まで以上に生産性が高まるということは多いです。
睡眠不足ではなく睡眠負債?
睡眠時間を削った時、「その分次の日に長く眠れば大丈夫だろう」と考えますよね。
実は睡眠不足は借金(負債)と同じような特徴をもつことが分かっており、睡眠負債と呼ばれています。例えば3時間睡眠を削った場合、次の日に睡眠不足を補おうと思うと3時間+α寝なければならないわけです。
しかし実際には多く寝たところでこの借金を返済できる限界値が存在するため、1日でこの睡眠負債を解消することはできません。数日睡眠不足が続いた場合、その睡眠負債を返済するためには2週間前後十分な睡眠時間を確保し続けなければならないことが分かっています。
どうしても睡眠時間を削らざるを得ないこともあると思いますが、そういった日は昼寝等で睡眠不足を補ったり、睡眠の質を高める工夫をしながら、なるべく日々十分な睡眠をとることを心掛けていきましょう。
睡眠は質と量
睡眠時間が長くなれば万事解決というわけでもありません。
睡眠時間と死亡リスクの関連について調査した報告によれば、睡眠時間7時間前後の死亡リスクを1とした時、それより睡眠時間が短くなっても長くなっても死亡リスクは上昇することが分かります。
睡眠時間が長い方の中には睡眠の質が悪いために睡眠時間がその分長くなってしまっている方も含まれているものと推測されます。睡眠は長ければ良いというものではなく、質の良い睡眠を適度な時間確保することが重要です。
「睡眠の質を高める方法」についてはこちらの記事で解説しています。
寝だめは逆効果!?
休日に寝だめすることで睡眠不足を補う方は多いですが、実は寝だめは逆効果になりやすいことが分かっています。
休日寝だめする方はうつ病発症リスクが3.76倍に高まることが報告されています。
寝だめした翌日の朝はなんだかいつもより辛いという経験はありませんか?人間の脳は簡単に時差ボケをおこすため、1日寝だめするだけでも翌日の心身への負担が大きくなることが分かっています。
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