心配性の人の中には実は病気によって不安・心配を感じやすい人もいるんだ。今日はどんな「不安・心配」だったら病院受診を考えた方が良いのかについて解説するよ。
「上がり症」は実は・・・
「人前に出ると頭が真っ白になって何を話して良いか分からなくなる」人はいませんか?初めて人前に出て何かしらパフォーマンスをする時に不安で緊張するのは自然なことですが、何度か同じ経験をしているのにも関わらず一向に変わらなかったり、あまりにも不安で人前に出るのを避けてしまうという方は「社交不安障害」と呼ばれる精神疾患の可能性ありです。他にも日常生活上のいろいろなことが心配になりやすい方やよく分からないけど急に不安になって呼吸が早くなったり動悸がする方も精神疾患の可能性があり、治療によって改善できるかもしれません。
「不安」で病院受診を考えるべきポイントとは?
病院受診を考えた方が良いポイントについて状況別に解説します。
人前に出ることが不安な場合
●他者に注目される可能性がある状況で否定的な評価を受けることが不安で仕方がない
●同じ状況を何度も経験しているにも関わらず、その度に強い不安を感じる
●人前に出ることが不安で本当はやらなければいけないことを回避してしまう
こういった状態が半年以上続いており、強い苦痛を感じていたり、生活になんらかの支障が出ている
これらのポイントを満たす場合、「社会不安障害」の可能性があり、受診を検討しても良いでしょう。
『社交不安障害』についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています
いろいろなことが不安な場合
●日常の様々な事に対して自分では抑えられない強い不安・心配を感じる
●落ち着かない、疲れやすい、集中できない、怒りっぽい、眠れない、肩こりしやすいといった症状が出ている
こういった状態が半年以上続いている。
これらのポイントを満たす場合、「全般性不安障害」の可能性があり、受診を検討しても良いでしょう。
『全般性不安障害』についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています
よく分からないけど不安が出てくる場合
●突然激しい不安や恐怖が出てくる。
●不安や恐怖と同時に、動悸や冷や汗、体の震え、息苦しさ、胸やお腹の不快感、めまい、このまま死ぬのではないかという恐怖などが出てくる。
●再び同じような不安や恐怖が出てくるのではないかと心配になったり、生活を制限してしまう。
こういった状態が1か月以上続いている。
これらのポイントを満たす場合、「パニック障害」の可能性があり、受診を検討しても良いでしょう。
『パニック障害』についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています
特定の何かへの不安がある場合
●自然現象(雷など)や動物(犬やヘビなど)、特定の状況(高所、水場、飛行機など)、外傷(血液や注射など)に対して強い不安・恐怖を感じる。
こういった状態が半年以上続いている。
これらのポイントを満たすと、いわゆる「恐怖症」の可能性があり、生活に支障が出ていたり苦痛が強い場合は受診を検討しても良いでしょう。
『恐怖症』についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています
病院ではどういたったことをするの?
身体の病気による影響がないか確認する
不安や恐怖といった如何にも精神的な問題と思われる症状であっても、身体の病気(甲状腺機能異常や脳疾患など)によって誘発されていることが稀にあります。その可能性がないか確認するため、血液検査や場合によっては脳画像検査を受けることがあります。
投薬治療や認知行動療法を受ける
とても不安・恐怖が強い場合は一時的に安定剤(ベンゾジアゼピン薬)が処方されることがあります。併行してSSRI(抗うつ薬の一種)が処方されることが多いです。SSRIはここで解説した恐怖症以外の疾患に対して有効性が実証されている数少ない薬剤です。
病院によっては認知行動療法と呼ばれる物事のとらえ方を修正する訓練を受けられることがあります。しかし、認知行動療法を実施している病院は非常に少ないのが現状です。
認知行動療法についてはこちらの記事で分かりやすく解説しています。
自分でもできる対策はないの?
程度の軽い不安や心配であれば、リフレッシュも十分に有効です。しかし、自身でもコントロールができない不安や恐怖が続いているのであれば、やはり病院受診をお勧めします。
認知行動療法については訓練を受けた医師の元で実施するのが安全ですが、自身で実行することも可能ではあります。セルフワーク用の書籍も出版されていますので試してみてはいかがでしょうか。私の診療していた患者さんの中にはこのセルフワークを実施することで症状が消退した方もおられます。ただし、すぐに効果が出てくるものではありませんので、自身で実施する際は、もし上手くいかなくても自分を責めすぎず、トライしようとした自分をしっかりと認めてあげることが大切です。
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